
「映画みたいな映像が撮れたらいいのに…」
「SNSで見る“あの雰囲気”ってどうやって出すんだろう?」
そんなふうに感じたこと、ありませんか?
実は、その“映画っぽさ”を作るために、多くのクリエイターが使っている秘密道具のひとつが「NDフィルター」です。
でも、NDフィルターってなんか難しそうだし、上級者向けっぽい…。
──そんな印象を持っていたら、ちょっともったいないかもしれません。
NDフィルターを使えば、
- 日中の撮影でも“白飛び”を防いで、自然な映像に仕上がる
- 背景を自然にぼかして、印象的なシネマティック演出ができる
- 光と影のコントラストを自在にコントロールできる
写真も動画も、「ただの記録」が「作品」に変わります。
この記事では、
- NDフィルターの仕組みや使い方
- 固定NDと可変NDの違いと選び方
- 映像や写真での具体的な活用シーン
など、初心者の方でもすんなり理解できるよう、ていねいに解説していきます。
「NDって何?」から「ちょっと使ってみたいかも」まで。
その一歩を、ここから始めてみませんか?
NDフィルターを使うと何ができるの?
NDフィルターを使うと、光をコントロールできるようになります。
それだけで、写真も動画も「見た目」がガラッと変わります。
たとえば──
映画のような“自然な動き”が動画で撮れる
日中の明るい場所で動画を撮ると、ついシャッタースピードが速くなりすぎて、カクカクした動きに…。
NDフィルターで光の量を減らしてあげると、シャッタースピードを落として“モーションブラー”がしっかり乗る。
動きに“残像”が加わって、グッと映画っぽく仕上がります。
背景をとろけさせて、主役を引き立てる
ボケ感を出すために絞り(F値)を開けたい。でも明るすぎて真っ白に…。
そんなときも、NDフィルターがあれば大丈夫。
レンズに入る光を減らすことで、絞り開放での撮影が可能になり、主役が際立つ“プロっぽい一枚”に。
滝や川が“とろ〜ん”と流れる長時間露光
昼間の明るいシーンで、スローシャッターを使って“水を絹のように”表現したいとき。
NDフィルターがあれば、シャッターを数秒間開けても白飛びせずに撮影可能に。
風景写真の表現の幅が、一気に広がります。
つまりNDフィルターは、“光を抑える”ことで「動き」や「ボケ」、「質感」を自由に操るアイテム。
今まで「なんか違う」と感じていた写真や動画が、“ワンランク上”に変わる──
それがNDフィルターのすごさなんです。
NDの「数字」ってなに?ND8とかND64ってどういう意味?
NDフィルターのパッケージに書いてある「ND8」とか「ND64」って、何を意味してると思いますか?
簡単に言うと、“どれくらい光をカットするか”を表す濃さの目安なんです。
たとえるなら「カーテンの厚さ」
- ND2は「薄手のカーテン」 → 少しだけ光を遮る
- ND8は「ちょっと厚めのカーテン」 → 部屋がぐっと暗くなる
- ND1000になると「遮光カーテン」 → ほぼ真っ暗!
カメラに入ってくる光を減らすことで、明るすぎる場所でも、
- 背景をぼかしたい(F値を下げたい)
- 動きをなめらかに見せたい(シャッタースピードを落としたい)
といった“映画っぽさ”を作り出すことができます。
NDの数字、どう読み解く?
数字が大きいほど、たくさん光をカットします。
ND値 | 減光のイメージ | 例:1/60秒で撮っていた場合のシャッタースピード |
---|---|---|
ND2 | 約半分の光をカット | 1/30秒(1段分) |
ND4 | 約1/4の光量に | 1/15秒(2段分) |
ND8 | 約1/8の光量に | 1/8秒(3段分) |
ND64 | 約1/64の光量に | 1秒(6段分) |
ND1000 | 約1/1000の光量に | 16秒(約10段分) |
覚え方のコツ
- 数字が倍になるごとに、光を半分にしていく(=「1段」減光)
- ND2 → ND4 → ND8 → ND16… と進むごとに1段ずつ暗くなる
難しいことはさておき──どんな場面で何を選べばいい?
「結局どのNDを使えばいいの?」
そんなあなたのために、ざっくり“シーン別”の目安をまとめました。
撮影シーン | おすすめND値 | なぜ? |
---|---|---|
晴れた日の動画撮影 | ND8〜ND64 | 明るすぎて白飛びするのを防ぐため |
滝や川のスロー撮影 | ND64〜ND1000 | シャッタースピードを数秒にして、水を“とろ〜ん”と流すため |
日中のポートレート撮影 | ND8〜ND16 | 背景をきれいにぼかすため(F値を開けても白飛びしない) |
曇りの日の動画撮影 | ND4〜ND8 | 少しだけ光を抑えたいときにちょうどいい |
難しい計算?不要です。
「1段分って?減光量って?ちょっともう頭が…」という方、大丈夫です。
NDフィルターの役割は“カメラに入る光を減らすこと”。
シンプルに「明るすぎるから暗くしたい」ときに使う道具です。
理屈を全部覚えなくても、
「外が明るすぎるな」と感じたら、NDの数字を上げればOK。
逆に「ちょっと暗すぎるな」と思ったら、数字を下げるか、外すだけ。
まとめ:NDの数字は“濃さの目安”と思えばOK!
- 数字が大きいほど、光をたくさんカット(=暗くできる)
- 撮影シーンに応じて、NDの“厚さ”を変えるだけ
- 難しい計算は必要なし。選び方の目安さえ知っておけば大丈夫!
あなたのカメラにも、1枚入れておくと世界が変わるかもしれません。
固定ND?可変ND?結局どっちがいいの?
NDフィルターの存在を知って、「なんだかすごそう」と感じたあなた。
でもAmazonで調べると、
いろいろありすぎて「で、結局どれがいいの?」ってなりますよね。
大丈夫、ここではあなたの“はじめてのNDフィルター選び”がスムーズに進むよう、2つの種類の違いと選び方のコツを、やさしく解説していきます。
固定NDフィルターって?
読んで字のごとく、「濃さ(ND値)」が決まっているNDフィルターです。
たとえば「ND8」なら、ずっとND8の濃さで光を減らします。
特徴まとめ
- ND8ならND8、ND64ならND64で、その濃さで固定
- 映像の色ムラや画質の劣化が少ない(プロ志向)
- 逆にいうと、明るさに応じて“交換が必要”
たとえるなら…
「明るさに応じてサングラスをかけ替える」ようなもの。
晴れた日用、曇りの日用、夕方用…を持ち歩く感じです。
可変NDフィルターって?
こちらはダイヤルをくるっと回すだけでND値を変えられるタイプです。
「ND2〜ND400対応」といった表記のものが多く、ひとつで幅広くカバーできます。
特徴まとめ
- 光の量に合わせて“濃さをスライド調整”できる
- 移動しながらの撮影に超便利!
- 一部製品では「X状のムラ」や色かぶりが出ることも
たとえるなら…
「サングラスの濃さが自在に変えられる魔法のレンズ」。
明るくなったら濃く、暗くなったら薄く…その場で微調整できます。
じゃあ、自分に合うのはどっち?
結論から言うと、使うシーンや“重視すること”によって選び方が変わります。
以下の比較表でざっくり確認してみましょう:
比較項目 | 固定ND | 可変ND(バリアブルND) |
---|---|---|
調整のしやすさ | ✕ フィルターの交換が必要 | ◎ ダイヤルを回すだけで調整可能 |
画質の安定性 | ◎ 色ムラが出にくい | △ 製品によってはムラが出ることも |
初心者の使いやすさ | △ フィルター選びに迷うかも | ◎ 1つで済むので迷いにくい |
屋外での動画撮影 | △ 明るさが変わると面倒 | ◎ 動画派ならコレ一択 |
写真(長時間露光) | ◎ 滝や星空などに最適 | △ 露光中に変わると不安定なことも |
持ち歩きやすさ | ✕ ND4・ND8・ND64…何枚も | ◎ 1枚でいろいろ対応 |
値段(コスパ) | ◎ 安価で画質◎ | △ 若干高価だが1枚で済むので妥当 |
迷ったら「可変ND」でOK!
NDフィルター初心者さん、動画を中心に撮る方、旅行先でサクサク撮影したい方──
そんな方には、まず可変NDフィルターがおすすめです。
いきなりND4・ND8・ND64…と揃えるのはハードルが高いですが、
可変NDなら1つで明るさの変化に柔軟に対応できて、とにかく撮影がスムーズになります。
ただし…画質にとことんこだわりたい人は「固定ND」も検討を
- 映画やMV制作など、シビアな映像クオリティを求める方
- 夜の星空・滝の長時間露光など、じっくり写真に向き合いたい方
そんな方には固定NDをND8 / ND64あたりから少しずつ揃えていくのもおすすめです。
最後に:あなたの撮影スタイルで選ぼう!
作品づくりや長秒撮影写真 → 固定ND
と覚えておけば大丈夫です。
「これが正解」ではなく、「自分の使い方に合うもの」を選ぶことが、
NDフィルターを長く楽しむコツですよ。
NDフィルター、使ってみたいけど…ちょっと不安?よくある疑問まとめました!
ここまで読んで、
「使えば映画っぽい映像が撮れる気がする…!」
そう感じたあなた、もう一歩で“NDデビュー”です。
でも、あとちょっとでポチりそうなこの瞬間に、こんな不安がよぎりませんか?
NDをつけたまま、オートフォーカスって効くの?
👉 効きます。問題ありません。
NDフィルターはあくまで“光を減らすサングラス”のようなもの。
カメラのAF(オートフォーカス)やAE(自動露出)の仕組みとは干渉しないので、
ほとんどのカメラで普段通りにピントも合います。
ただし、ND濃度が高すぎる(ND1000など)と暗すぎてピントが合いづらいことも。
そんなときは、一度NDを外してピントを合わせてから、NDを装着し直す…なんてプロの技もあります。
NDつけたまま室内や夜の撮影して大丈夫?
👉 基本的にはNG!
NDは“減光フィルター”。つまり、暗い場所ではさらに暗くなります。
その結果、ブレたりノイズが増えたり、思ったような仕上がりにならないことも。
ポイントはこれだけ覚えておけばOK:
シンプルに、これだけで大丈夫です。
NDとPLフィルター、一緒に使っても平気?
👉 使えます。ただし注意点も。
PLフィルター(偏光フィルター)は、反射を抑えてコントラストを上げるアイテム。
NDとは目的が違いますが、組み合わせると「ギラつきを抑えて、明るさも調整」できるので実は相性◎。
ただし、重ねるとレンズが厚くなってケラれ(四隅が暗くなる)ことも。
その場合は「スリム枠」タイプや、「ND+PL一体型」製品を選ぶと安心です。
可変NDって本当に便利?デメリットないの?
👉 便利です!…でも、ちょっとだけクセがあります。
ダイヤルを回すだけでND濃度が変えられる「可変ND」。
これは本当に革命的で、旅やVlogなど“動きのある撮影”では神アイテム。
ただし以下の点には注意が必要です:
ポイント | 説明 |
---|---|
X状のムラ | 特に安価な製品で「NDの濃さがムラになる」現象が起きることも(※NDを濃くしすぎたとき) |
色味のズレ | 製品によっては、ちょっとだけ色味が変わることがある(後で編集で直せるレベル) |
つまり、画質に強くこだわるプロレベルの作品づくりには、固定NDが向いています。
でも、「とにかく今すぐカメラを持って外へ行きたい!」
そんなあなたには、圧倒的に可変NDがおすすめです。
まとめ:NDフィルターって、けっこうシンプル。
ここまでのポイントをひとことでまとめると…
しかも、普段のカメラ操作はほとんど変わらず、
NDを1枚つけるだけで白飛びが抑えられ、動きも自然になり、背景もふんわりぼける。
今まで「なんかうまく撮れないな…」と思っていたモヤモヤが、
NDフィルター1枚で一気にクリアになるかもしれません。
NDフィルターは、あなたの「いつもの映像」に小さな魔法をかけてくれるアイテム。
ちょっとの工夫で、あなたのカメラが“映画の一コマ”を切り取る道具になります。
次は、あなたの番です。
どれを選べばいい?おすすめNDフィルターを価格帯別に紹介
NDフィルターって、探し始めるとものすごい種類がありますよね。
正直なところ、筆者自身もすべてを試したわけではありません。
ですが、多くのレビューやプロの意見、実際に使っている人の声をもとに、「これは定番」「これなら安心」というフィルターをタイプ別・価格帯別でピックアップしてみました。
「はじめて買うけど、どれがいいの?」という方の参考になれば嬉しいです。
可変NDフィルター(濃度調整ができるタイプ)
「光の量を自在に操れる魔法のダイヤル」──そんな言葉がぴったりなのが、この可変NDフィルターです。
特徴はなんといっても濃度を手元でくるくる回して調整できる便利さ。たとえば、屋外撮影で急に雲がかかってきたり、日陰に入ったりするシーン。そんなときでもフィルターを付け替えることなく、ダイヤルを回すだけで露出をコントロールできます。
これは特に、以下のような状況で真価を発揮します:
- 動画撮影で、シャッタースピードを固定しながら明るさだけ調整したいとき
- 一度セッティングした構図を崩さず、濃度だけ微調整したいとき
- 撮影のテンポを落としたくないVlogや旅撮影
ただし、構造が複雑な分、製品によっては色かぶりやムラが出ることがあるのも事実。そのため、信頼できるメーカーを選ぶのがとても大切です。
💡 迷ったらこれ!定番〜初級者向け
-
K&F Concept 可変NDフィルター ND2〜ND32(ブラックミスト内蔵モデルもあり)
→ 価格と品質のバランスがよく、レビューも多数。NDだけでなく「ふわっと柔らかい」描写ができるブラックミスト入りタイプも人気。
価格重視の入門モデル
-
Neewer 可変NDフィルター ND2〜ND400
→ コスパ重視ならこちら。若干色味にクセが出ることもあるので、編集前提の人向け。
🚀 プロ仕様&本気の動画向け
-
PolarPro Peter McKinnon Edition II(ND2〜ND5 / ND6〜ND9)
→ 映像クリエイター界で定番。発色・ヌケ感・耐久性すべて一級品。価格も本気。
固定NDフィルター(ND16などの濃度固定タイプ)
「濃度が変えられないなんて不便そう…」と思うかもしれませんが、実は描写力や発色の正確さを重視する人たちからは、いまもなお根強い人気を集めているのが固定NDフィルターです。
可変NDが便利なのは事実ですが、その構造上「色かぶり」や「X状のムラ」などが出てしまうことがあります。これに対し、固定NDは濃度が決まっている分だけ構造がシンプルで、より高精度な光のコントロールができるのが強み。
特に、長時間露光や昼間のスローシャッター撮影など、明るい環境でもしっかりシャッタースピードを稼ぎたい場面では、ND64やND1000といった固定NDが活躍します。
また、フィルター径が統一されていれば、ステップアップリングを活用して複数のレンズで共有することも可能。用途に応じた「使い分け」ができると、撮影の幅が一気に広がります。
単焦点レンズや日中ポートレートに最適
-
NiSi NDフィルター(ND64 / ND1000 など)
→ 光学性能が非常に高く、色かぶりが少ない。長時間露光にも◎。
-
Hoya ND フィルター PRO NDシリーズ
→ シャープな描写で人気。風景撮影にも安心の品質。
コスパで選ぶなら
-
K&F Concept 固定ND ND8 / ND64 / ND1000
→ 可変ND同様、エントリーユーザーにやさしい価格設定。
NDフィルター選びのポイント再確認
- たくさん持ち歩くのが面倒なら 「可変ND」 が便利
- 色かぶりや描写力を追求したい人は 「固定ND」
- 長時間露光や夜の撮影には ND64〜ND1000 などの高濃度NDが◎
- 動画撮影には ND8〜ND32(またはND2〜ND400) くらいが◎
「まずは試してみたい」という方は、エントリーモデルからでも十分です。
NDフィルターは、“撮影の幅”と“作品の深み”を一段上に引き上げてくれる存在。
このリストを参考に、自分の撮影スタイルに合った1枚を見つけてみてください。
まとめ:NDフィルターは、あなたの“いつもの撮影”に革命を起こす魔法のアイテム
「NDフィルターって何?」から始まったこの記事。
読み進めるうちに──
- 白飛びせずに自然な動画が撮れること
- 背景をふわっとぼかした映画のような写真が撮れること
- プロみたいな滝の“とろとろ表現”も可能になること
そんな「知らなかった世界」が広がったのではないでしょうか。
NDフィルターは、決して“上級者だけの道具”ではありません。
むしろ今、「なんか映像がしっくりこない」「もっと表現に幅がほしい」と思っているあなたにこそ、一番必要な1枚かもしれません。
NDフィルターをつけて撮る世界は、
光に惑わされず、あなたの「撮りたい」がそのまま形になる世界。
「いつもの公園の散歩道」も、「旅先の街角」も、「友達とのカフェタイム」も、
ちょっとNDをつけるだけで、すこし映画っぽくなる。
その感覚を味わったとき、きっとあなたはこう思うはず。
だからこそ、今この瞬間。
あなたのカメラバッグに、NDフィルターを1枚、加えてみてください。
小さな1枚のフィルターが、
“あなたらしい表現”への扉をそっと開いてくれるはずです。
次の週末は、NDフィルターをつけてカメラを片手に出かけてみましょう。
いつもの景色が、ちょっと映画っぽく見えるはずです。